オーバーツーリズム対策としても期待される富裕層インバウンド戦略

日本でも有数の観光都市である「京都」。2008年に年間観光客数が5,000万人を突破して以降、ほぼ毎年5,000万人以上が京都を訪れている(『京都観光総合調査(2016年版)』より)。日本政府観光局の発表によると、2018年の訪日外国人観光客は3,000万人を突破。今後も訪日外国人観光客は増加していくとみられている。

一方で問題となっているのが「オーバーツーリズム」だ。これは京都に限ったことではなく、ベネチアやバルセロナなど海外の有名観光地でも同様だ。観光シーズンには、京都駅前のバス乗り場に100人規模の列ができ、市内の道路もいたるところで渋滞が起きる。清水寺などの定番観光地には歩くのも大変なほど、人々が集中する。

一般的な観光客でさえ、このような混雑に対してマイナスイメージを持っている方がいるくらいだ。ましてや外国人富裕層を呼び込もうとすれば、大きなネックになっていることは想像に難くない。

もちろん、オーバーツーリズムの問題は京都に限ったことではない。例えば福岡も、近年クルーズ船や航空機を利用した訪日外国人観光客が増加傾向にある。2016年には統計開始後初めて2,000万人を突破した(『福岡市の観光・MICE2018年度版』より)。

オーバーツーリズム解決のヒントのひとつになると考えているのが、外国人富裕層にフォーカスして地域に観光客を呼び込む「富裕層インバウンド」という考え方だ。簡単に言ってしまえば、一般的な観光客の流入を少なくし、代わりに富裕層観光客の流入を多くするということだ。当然、観光客は人であるため、モノを入れ替えるようにはいかない。しかしながら、受け入れる人数を少なくしつつ観光収益を維持しようとした場合、富裕層にフォーカスするのはとても理にかなった考え方だ。

実際、日本の中でも特に観光客が多い京都や東京では、富裕層インバウンド戦略を地域観光における重要な戦略のひとつとして、富裕層旅行商談会に参加するなど様々な取り組みを始めている。

また、京都ではオーバーツーリズムが理由で市外に居住地を移す市民が出てきており、空洞化が進むことも懸念されている。富裕層インバウンド戦略は、市民生活の維持や空洞化対策としても効果が期待できるだろう。

 

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