体験ギフト型商品が富裕層を対象とした百貨店外商生き残りのカギ

富裕層顧客の自宅に訪問し、ジュエリー、時計、美術品や骨董品などを販売する旧来型の外商が、近年変化を見せつつある。モノからコトへの変化、すなわち体験型商品へのシフトだ。

松坂屋が外商顧客向けに販売したのが「マクラーレン 570 Spiderの試乗ツアー」(2018年12月終了)。最高時速328km、3,000万円の高級スポーツカーで、三重県の伊勢志摩までドライブし、現地の高級ホテルに宿泊して戻ってくるというツアーだ。

中京大学経済学部の内田俊宏客員教授が「近年のアベノミクスで富裕層の資産が増加している、所得も2極化しているということで、そうした富裕層を対象にした外商がカギを握ってくると思います。最近ではモノではなくてサービス消費、特に体験型のコト消費と呼ばれるものを中心に、新しいものを提案していく形が百貨店の生き残りの重要な戦略になっていると思います」と語るように、これからの百貨店外商にとって体験型商品の展開は欠かせない戦略になりそうだ。

もちろん、購入した富裕層本人がその体験を楽しむということもあるが、当社では特に「体験ギフト型商品」に注目している。たとえば、前述の松坂屋では、プロの作詞家、作曲家がオリジナル曲を制作し、レコーディングまでおこなうツアーを、カラオケ好きの母を持つ顧客(医師)に提案した。

体験ギフト型商品の利点は、購入者と利用者が異なる点だ。今回は顧客が母親にというケースだったが、当然ながら自分の子供に情操教育として何かを体験させたいと考える顧客もいる。その場合、単に体験型の商品が売れるというだけでなく、同時に将来の顧客候補である富裕層の子供の囲い込みにも寄与するということも意味する。また、友人にプレゼントすることで、新規顧客へのアプローチ機会を得ることに繋がる可能性も秘めている。

また、体験型のメリットは複数の要素を組み込めることだ。たとえば、松坂屋の例でいえば、マクラーレンや作詞家・作曲家だけではなく、宿泊先のホテルも利益が得られる。また、「せっかくだから観光も」ということになれば、滞在日数も増えるし、周辺の観光施設にも利益が及ぶ。

当然ながら、その前提条件として、富裕層顧客のニーズを満たした質のいい体験型商品であることが必要だが、ぜひ百貨店外商に限らず様々な企業などで活用を検討していただきたい。

 

当社でも、百貨店外商に限らず様々な業種で富裕層向けの体験ギフト開発支援を実施しています。富裕層向け体験ギフト商品の展開をお考えの企業様、観光関連団体様などからのお問い合わせをお待ちしています。

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